新型出生前診断の時期や費用に的中率

出生前診断とは?

高齢出産の件数が増えるにつれ、話題に上ることが多くなってきた出生前診断。出生前診断とは、胎児の病気、染色体異常、奇形がないかを調べる検査で、妊娠9~22週ごろに行うことができます。この出生前診断にはいくつか方法があります。

超音波検査

通常の妊婦検診で行う超音波検査とは別に妊娠11~13週に受けることのできる検査で、赤ちゃんの循環系や代謝系など体内のことも調べることができ、先天性異常の可能性があるかどうかなども検査することができます。

羊水検査

15~18週に受けられ、子宮内から羊水を採取して成分検査、DNA診断、染色体分析などを行います。精度が高い反面流産のリスクを伴います。

絨毛検査

9~11週に受けられ、子宮内の組織を採取して検査します。羊水検査よりも早くに検査できますが、流産の可能性が高く日本ではあまり実施されていません。

母体血清マーカーテスト

15~21週に受けられる血液検査で、母体にも赤ちゃんにも負担がない反面精度が低く、この検査で異常が出た場合には羊水検査を実施することになります。

新型出生前診断

10~18週に受けられ、血液検査で赤ちゃんの染色体や遺伝子を調べます。母体や赤ちゃんへの負担が少なく精度が高いのがメリットですが、費用が20万円以上と高額だというデメリットもあります。

なお、2014年秋のは精度はやや落ちるものの費用の安い新たな診断方法も誕生しました。

出生前診断はどんな人が受けるの?

出生前診断の主な受診者は高齢出産を控えた妊婦さんです。高齢出産は通常の出産と比べ、赤ちゃんに染色体異常や先天性疾患が発症するリスクが高まります。おなかの中にいるうちに赤ちゃんの病気や異常を知ることで、早いうちから治療や療養の準備を進めたりすることも可能になります。

ほかには以前に染色体異常を持つ赤ちゃんを出産したことのある方も、産院から受診を勧められることがあります。

新型出生前診断

新型出生前診断とは、妊婦の血液から胎児の染色体異常があるかどうかを調べる出生前診断のことを言います。新型出生前診断という名称は、これまで行われていた出生前診断と区別するためのもので、正式には無侵襲的出生前遺伝学的検査と言います。NIPTとも呼ばれます。

新型出生前診断の検査方法

新型出生前診断は、約20ccの妊婦さんの血液を採取することで、胎児の妊娠経過を確認することができます。これまで行われていた羊水検査は、流産の危険が伴っていました。

しかし、新型出生前診断では妊婦さんへの負担がかなり軽減され、流産の危険も大幅に減らすことができました。

高い診断精度(的中率)

新型出生前診断では、血液を採取し、胎児由来遺伝子の中の13番と18番と21番の3つの染色体濃度を分析します。そうすることで、13トリソミー、18トリソミーそして21トリソミーの可能性を発見することができます。

以前までは診断精度がそこまで高くありませんでしたが、近年では80パーセントから90パーセントと高い診断精度を誇っています。

さらに、新型出生前診断の陰性的中率は、99.9パーセント以上であるといわれています。したがって、陰性診断が出れば99.9パーセントの確率で先天性の異常はないと言えます。

新型出生前診断を受けられる条件や費用

新型出生前診断を受けるには、3つの条件のうちどれかにあてはまる必要があります。

  1. 妊婦さんが35歳以上である高齢出産である
  2. 妊婦さんか旦那さんに染色体異常が認められており、胎児にもその可能性がある
  3. 過去に13番トリソミー、18番トリソミー、21番トリソミーの赤ちゃんを出産した経験がある

新型出生前診断の費用は、20万円前後かかるといわれています。出産準備などなにかと物入りの時期に行う検査になるので、決して安い金額であるとはいえません。また、保険適用のない自由診療であるので、全額負担を妊婦さんやその家族がすることになります。

そして、新型出生前診断は日本医学会認定の産婦人科でしか受けることができません。したがって、自宅近くに日本医学会認定の産婦人科のある大きな病院がない場合には、その病院まで行く交通費などもかかることになります。

新型出生前診断に対する社会の反応と善悪(倫理観)

出生前診断に対して、社会的には様々な意見があります。したがって、出生前診断を行おうと考えるときには、どのような意見があるのかを知り、自分はそれに対してどう思うのか、出生前診断に対してどう思うのかきちんと整理することが必要となります。

肯定意見

まず、出生前診断を肯定する意見としては、親の心の準備や胎児に対する身の回りの準備をすることができるというものがあります。出生前診断を行わずに胎児を出産したところ、その胎児が染色体異常で先天的な障がいを持っていた場合、あまりにもショックが大きくて育児放棄をしてしまう親もいます。

そういった事態を防ぐため、事前に出生前診断を行うことによって、心と身の回りの準備をすることによって、生まれてきた赤ちゃんにとって一番良い状況を整えてあげることができます。

否定意見

反対に、出生前診断を否定する意見もあります。その主なものとしては「人工中絶が増えてしまうのではないか」という懸念です。

これは、出生前診断で遺伝子異常が確認された場合「自分には育てる器量が無い」という理由で、中絶してしまう妊婦さんがいるのではないかという心配からです。

出生前診断の良しあし

では、出生前診断は良いことなのでしょうか、それとも悪いことなのでしょうか。まず、大前提として一つの物事に対してメリットとデメリットは必ずつきものであるということです。したがって、出生前診断においても肯定する意見があるけれども否定する意見もあるわけです。

出生前診断は倫理的善悪を問われることがあるます。それは前述したように、人工中絶が懸念されるからです。大切な命を自分たちの都合で失くしてしまっていいのか、育てられないと分かっているのに産んでしまってもいいのか。しかしどれがベストな選択なのかは、家庭の状況や妊婦さんの状況によって変わってきます。

現在の日本では、出生前診断を行うことは義務ではなく、受けるかどうかは自分で決めることができます。出生前診断を行う前には、倫理的問題もしっかりと受け止めカウンセリングを受けた上で行うことが大切です。


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