不妊治療の費用と負担を軽減する医療費控除&医療保険

不妊治療は、自己負担の範囲で行われることが多いので出費との戦いにもなります。ただでさえ精神的にツライ不妊治療なのに、いつまで続くか分からない金銭面の負担ものしかかるので本当に苦しくなります。

そんな大変さを少しでも和らげるために、あなたがいつまで不妊治療を続けられるのかの目安をご理解いただきつつ、医療費控除や医療保険の活用についてもお知らせしていきます。

不妊治療の費用

不妊治療をする前にいろいろ検査をして、その結果を見て医師と相談し治療が始まると思います。検査結果が悪くなければ、まずはタイミング法による自然妊娠から、それがうまくいかなければ人口授精、体外授精、顕微授精と治療をステップアップしていくことになります。

それぞれの治療についての内容と費用について説明しますね。

タイミング法

超音波検査で卵巣や卵胞の状態を確認して、排卵日を予測します。予測された排卵日の3日くらい前から排卵日の次の日くらいまでの間に、タイミングを合わせて性生活をします。

タイミングを取る(卵子の育ちや排卵チェック)ために医師の診察を受ける費用がかかり、1回の費用は2,000円~20,000円くらいです。

成功率は20%程度で、5~6回を目安に半年くらいで自然妊娠しなければ、人口授精にステップアップを勧められることが多いです。タイミング法を6回とすると、費用の総額は1~10万円くらいです。

人口授精

あらかじめ採取しておいた精子を、女性の子宮の中に人工的に入れて授精させます。

1回の費用は2~3万円です。何度チャレンジしても成功率は5~10%程度なので、4~5回(期間にして半年)で授かれないなら体外受精に移行します。人口授精5回として、費用の総額は10~15万円くらいです。

体外受精

卵子を子宮から取り出して、体外であらかじめ採取しておいた精子と受精させて、受精卵を子宮に戻します。費用は30~60万円です。成功率は20~40%です。

顕微授精

顕微鏡を使って、体外で卵子と精子を受精させる方法です。体外受精よりも授精率をアップさせることができます。ピペットと呼ばれるスポイトのようなものを使い、人の手で直接卵子の中に精子を入れて受精させます。

費用は30~100万円と高額です。授精率は70%、受精卵を子宮に戻した妊娠成功率は20~40%です。体外受精と顕微授精合わせて6回を目安にすると、費用の総額は180~500万円くらいです。

高額な不妊治療に健康保険は使えるの?自己負担はどのくらい?

不妊治療では、保険適用の有無がきっちり線引きされています。先ほど紹介した4つの方法では卵子の状態を知るために超音波検査が行われます。この検査は、月1回までは保険適用で約1,500円です。ただし、2回以上は1回につき約3,000円かかります。

タイミング法でも健康保険はOK。排卵誘発剤やホルモンバランスを整える薬(プレゲステロン錠)の服用、あるいはそれらの注射による治療があれば健康保険適応で、1回につき1,000円~1万円以内の自己負担におさまることがほとんどです。

しかし、人工授精、体外受精、顕微授精は健康保険が適応されないので、全額自己負担になります。

※健康保険は使えませんが、医療保険の特約として不妊治療費に保険金が支払われる方向で金融庁が検討しています(2016年2月2日発表)。

不妊治療助成金を活用しよう!

体外受精、顕微授精にはかなり高額なお金がかかってしまいますよね。この高額な治療費を払う負担を減らすために、特定不妊治療費助成制度というものがあります。

特定不妊治療費助成制度について

特定不妊治療費助成制度とは、不妊治療にかかるお金のうち、体外授精、顕微授精など高額なお金がかかる治療費のみを対象に国からその一部を助成してくれる制度です。

国とは別に、各自治体(県や市区町村)が独自に助成制度を実施していることも。各自治体の助成制度は地域によって異なるので、まずはお住まいの市区役所(町村役場)に問い合わせてみてくださいね。

助成制度の内容

対象者は、次の条件すべてに当てはまる人だけです。

  • 43歳未満
  • 体外受精、顕微授精以外の方法では妊娠が見込めないと医師に診断された
  • 夫婦の所得額の合算が730万円未満

1回につき支給される助成金は15万円で、初回40歳未満では通算6回まで、初回43歳未満では通算3回までと制限があります。

(※国の助成制度の内容は、平成28年4月1日から上記のとおり変更となります)

不妊治療は医療費控除の対象になる

不妊治療に支払ったお金も医療費控除の対象になるんですよ。

例えば、1年の間に人口授精2回、体外受精1回行った金額が45万円だったとすると、

45万円-助成金15万円-10万円=20万円

になり、この額から収入による所得税率で計算すると、課税される所得金額195~330万円以内だと10%、330~695万円以内だと20%になるので、例えば400万円の人だと、

20万円×20%=4万円

ということになり、この4万円が還付金として戻ってきます。

医療保険は使える?使えない?

不妊治療の人口授精、体外受精、顕微授精には医療保険を使うことはできません。

しかし、不妊の原因である病気の治療による手術費や入院費については医療保険の対象になります。代表的な例としては腹腔鏡下手術です。

この手術の中には子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、卵巣や卵管の癒着剥離などがあります。これらの不妊の原因の治療のための手術をすることで、妊娠率を高めることができるんです。

不妊治療の手術の費用負担はどのくらい?

手術(入院が必要な場合は入院費用)も含め、10~50万円くらいかかりますが、健康保険が適応されるので実費は3割負担です。

病院や薬局の窓口で支払うひと月分の医療費が、一定の限度額を超えた場合にその超えた分の金額を支給してくれる高額医療費制度を使えば、収入の所得にもよりますが、月収53万円以上の高額所得者でなければ9万円以内に収まりますよ。

保険の種類によってもらえる金額は変わってきますが、かかった手術や入院費用を医療保険でカバーすることは十分できます。

不妊治療に使えるお金の目安を決めよう

高額になってしまう不妊治療費、自分たちの財産状況をきちんと把握して計画的に不妊治療を行いましょう。

助成金や医療費控除の制度を利用すれば、負担額を減らすことができます。回数や助成金額に限りがありますが、上手に制度を活用してツライ不妊治療を乗り越え、赤ちゃんを授かれると信じてがんばりましょうね!


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