妊婦さんの傷病手当金ノウハウ(妊娠悪阻や早産で申請したい)

妊娠は病気やケガではないけど、症状によって傷病手当金の対象になります。

「私の症状で傷病手当金の申請はできるの?」
「有給消化と傷病手当金のどちらが有利?」

などの疑問や会社判断への不満を解消できるようにまとめました。

妊娠中でも傷病手当金はもらえる!

傷病手当金とは、社会保険に加入している人が病気やケガで働けなくなり職場を休んだ時に、その間の生活費の保証をするために作られた制度です。

傷病手当金がもらえる条件としては、仕事中以外の病気やケガであること、仕事ができないこと、連続して3日間休んでから4日以上働けないこと、休んでる期間は給料が支払われないことです。

妊娠を理由で休んでいるけど病気じゃないから・・・とあきらめるのは早いですよ。妊娠中だって安静や治療が必要なら、傷病手当金をもらえる対象なんです!

妊婦さんがもらえる傷病手当金の実例

妊娠でも傷病手当金が給付される症状の例としては、妊娠悪阻、切迫流産、切迫早産があります。これらの症状で職場を休む時に入院が必要な場合はもちろん、自宅安静でも医師の診断書があれば対象になります。

実は、妊娠していなくても、不妊治療で入院や自宅安静が必要になった場合も傷病手当金をもらえるんですよ。

代表的な例としては、卵管を詰まらせて不妊の原因になる卵巣嚢腫を取り除く手術や、不妊治療で排卵誘発による卵巣が腫れあがるなどの副作用であるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)があります。

これらの症状があれば、安静や治療が必要なので職場を休むことになります。だから不妊治療や妊娠自体は病気じゃないけど、傷病手当金がもらえるんです。

対象者は社保本人だけ

妊婦さんの傷病手当金は、社会保険に加入している本人だけが対象です。

なので、社会保険の扶養に入っている、あるいは国民健康保険に加入している人は残念ながら対象外なので、自分が社会保険に加入しているか確認しましょう。

また、産休中にもらえる出産手当金が支払われている期間は傷病手当金と両方はもらえないので、出産手当金が優先され傷病手当金はもらえません。

退職後でも傷病手当金がもらえる条件

社保本人だけが対象になるとはいえ、実は退職後でも傷病手当金がもらえます。その条件とは、次の2つを満たしていることです。

  1. 退職日までに継続して1年以上健康保険に加入していること
  2. 退職日または退職日の前日までに連続して3日以上出勤していないこと

妊娠悪阻・切迫流産・切迫早産をきっかけに退職を考えることもあるかもしれないので、知っておくと役に立ちますよ。

有給消化と傷病手当金

「有給がいっぱい残ってるから有給使って休んだ方がいいよ」
こんな話を聞いたことがあるかもしれません。もしかしたら、会社からそのように言われたことがあるかもしれませんね。

「傷病手当金もらえるのに何で有給使わなきゃいけないの!?」
こんな疑問や不満が出てきちゃいますよね。

実は、有給の方がお金をたくさんもらえるので、会社があなたのためを思ってアドバイスしてくれているんです。

傷病手当金より有給の方が有利な理由

有給を使った方が良い理由としては、有給で休めば標準報酬日額の給料を1日分全部もらえるからです。(※標準報酬日額については、給付金額のところで詳しく説明しますね。)

しかし、傷病手当金では標準報酬日額の給料の3分の2の額しかもらえません。このことから有給消化した方が、傷病手当金をもらうより金額的には有利だと分かりますよね。

傷病手当金がもらえる条件に「連続して3日間休んでから」とあることは先ほど紹介しました。しかし、この3日間休んだ分は傷病手当金支給の対象にならない期間です。

ここで心配なのは、休んだ3日間の分はお金をもらえなくなってしまうということです。そこでベストな休みの取り方が、この3日間は有給で休むこと。

つまり、傷病手当金をもらう条件の3日間の休みを、欠勤ではなく有給(公休)でこなしてしまおうということ。そうすれば、この3日間の分も給料をもらいつつ傷病手当金の対象になるんです。

傷病手当金は欠勤扱いです

傷病手当金をもらうための3日間の休みを、有給ではなく欠勤扱いにしたいけど、査定に響くことを気にすることだってあるでしょう。

たしかに、傷病手当金をもらいながら休んでいる期間は、病気による欠勤扱いになります。

欠勤となれば賞与減額の査定をされるかもしれないし、昇進や昇格にも影響する恐れだってあるかもしれないと考えてしまいますよね。

でも大丈夫!妊娠、出産を理由に不利益をもたらしてはいけないと法律で禁止されています。そこは心配しなくてもいいですよ。

産後を考えた賢い有給取得をしよう

「もらえる金額が高いほうがいいにきまってるよね♪」と、有給を全部使ってから傷病手当金をもらおうかと一瞬、頭をよぎるかるしれません。でも、これは絶対に辞めた方がいいですよ。

経験上、産休後にすぐ復職する場合に有給を残しておかないと、健診や赤ちゃんが体調を崩した時に休みたくても有給で休めないということになります。

健診は産休後1歳になるまでに3回ありますし、赤ちゃんは体調を崩しやすく熱も出しやすいので、病院に行く回数も頻繁です。

このことを考えると、産後すぐ復職する場合はなるべく有給を使わずに傷病手当金をもらうのが良いでしょう。妊娠悪阻、切迫流産、切迫早産をきっかけに退職をする考えであれば、有給を消化してから傷病手当金をもらった方が損はしないですよ。

このように有給消化で休むか、傷病手当金をもらって休むかは、状況と考え方次第ですね。

申請方法や給付金額はどれくらい?

申請方法について説明しますね。

まず申請できる期間は、受給できる日の翌日から2年以内。傷病手当金の支給期間は、1つの傷病につき支給されることになった日から1年半までの間です。

これは、連続で休んでも復職してからまた休むことになっても1年半の間の期間だけです。

申請するには、傷病手当金支給申請書が必要です。

(※健康保険協会のホームページでダウンロードできます。印刷ができないときは加入している健康保険協会に問い合わせてみてくださいね。

申請書と添付書類

申請書に必要事項を記入し、事業主と担当医師の証明をもらいます。担当医師の証明は、休んだ期間が終わった後の証明が必要になるので、申請はその後ということになります。職場にお願いすると会社の方で提出してくれることがほとんど。

申請の仕方に制限はありませんが、長期になる場合は月単位で証明してもらい申請すると良いでしょう。添付書類は初回申請時に、「休む1ヶ月前の給料明細」と「タイムカードの写し」です。

給付金額を算定する標準報酬日額

次に傷病手当金の給付金額ですが、標準報酬日額の3分の2の額が職場を休んだ日数分もらえることになります。

標準報酬日額とは、毎年4月から6月までの3カ月分の基本給と諸手当を合算してから1ヶ月分に平均化した標準報酬月額を30で割り日額にしたものです。

この諸手当の中には、次のような月単位で一定額が支給される賃金や手当が含まれます。

  • 役職手当
  • 住居手当
  • 通勤手当
  • 扶養手当
  • 残業手当
  • 賞与(ボーナス)

一時的に支払われる、結婚祝い金、出産祝い金、見舞金、退職金などの恩恵に関わるお金は含まれません。

傷病手当金の計算式

傷病手当金でもらえる金額を計算式にすると、次の式になります。

標準報酬日額×3分の2×休んだ日数(最初の3日を含めない)=傷病手当金

例えば、標準報酬日額6,000円の人が30日間休んだ場合に給付される傷病手当金の金額を式にするとこうなります。

6,000円×3分の2×(30-3)日=108,000円

有給を使って休んだ場合は、その日数分の給料が日額3分の2の額ではなく、全額の金額で加算されます。

妊娠と傷病手当金

妊娠中は順調にお腹の赤ちゃんが育ってくれたらと願うばかりですが、悪阻を始め切迫流早産の危険もいつ起こるか分かりません。

急に職場を休まなくてはいけない時は、生活費などのお金の心配はせずにお腹の赤ちゃんのためにゆっくり休みたいですよね。そのためにある傷病手当金制度。しっかり活用して元気な赤ちゃんを産んでくださいね。


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