男性不妊4つの原因と2つの治療法

「赤ちゃんを妊娠しないのは、女性に原因がある!」とされ、離婚にまで至ったのはもはや昔の日本。今や、不妊の原因は男性にもあることが判明・認知されていて、男性不妊が原因で妊娠できない確率は40~50%にも及ぶとされています。

つまり「赤ちゃんができない原因の半分は男性にあり!」ということで、子供を望んでいるけれどなかなか妊娠できないなら、夫婦で不妊治療に取り組むことが大切。

ここでは、男性も積極的に不妊治療に目を向けてもらえるよう、原因と治療法について紹介しています。

男性不妊の原因4つ

男性の不妊の原因として良く知られているのは、造精機能障害です。精子を作るシステムに異変が起きている状態ですね。

造成機能障害には主に「乏精子症、無精子症、精子無力症、精索静脈瘤」の4つがあり、男性不妊の約9割を占めています。

1:乏精子症

1つ目は、乏精子症です。これは、精子の数が一般的な数よりも少ない症状をいいます。精子の数が少ないと、卵子まで到達することのできる精子の確率がグッとさがるので、なかなか妊娠しにくい状態となってしまいます。

精子の濃度を検査して、1ミリリットル中に2000万以上含まれていれば正常ですが、それ以下だと乏精子症と判定されます。

2:無精子症

2つ目は、無精子症です。これは、精液の中に精子が含まれていない状態をいいます。

無精子症には、睾丸で精子はつくられているものの、通路が塞がれていて精子が精液に混じることができていない閉塞性のものと、精子そのものがつくられていない非閉塞性のものに分けられます。

閉塞性の場合は手術をすることで、すぐに奥様が妊娠することができる確率がかなり高くなりますが、非閉塞性の場合はなかなか難しいのが現状です。

3:精子無力症

3つ目は、精子無力症です。これは、元気な精子が少ない状態をいいます。元気な精子が少ないと、精子が自分の力で卵子まで到達することができないので、妊娠する可能性が低くなります。

精液検査を行った際に、前進する精子が50パーセント未満である場合には軽度の精子無力症、20パーセント未満である場合には、完全な精子無力症であると診断されます。

4:精索静脈瘤

精巣と心臓をつなぐ血管に瘤(こぶ)ができることで精子が作られにくくなる状態です。精巣→お腹→心臓の経路で血が流れる静脈が逆流することが原因。これによって精巣付近の体温が上がって、精子が作られにくくなります。

男性不妊の治療法2つ(自然妊娠を目指す場合)

男性不妊の原因を調べるために、病院では精液と血液を採取して検査を実施しています。検査内容は、WHO(国際保健機構)の基準に照らして、精子の運動量や染色体異常、ホルモンなどをを調べます。

その結果によって治療法が決まるわけですが、自然妊娠を目指す治療法は主に2つあります。

投薬による治療(乏精子症)

乏精子症(精子濃度が薄い)の場合は、濃くするための投薬治療が取られます。主に3種類の薬を3か月以上飲みます。

1:クロミフェン製剤

クロミッドなどの錠剤薬です。クロミッドは女性の排卵を促す薬としても利用されています。

2:ビタミン剤

細胞の発育などに必要なビタミンB12、生殖機能にかかわる働きを持つビタミンE中心とした薬が処方されます。

  • メチコバール・メコバラミン(ビタミンB12)
  • ユベラ(ビタミンE)
  • シナール(ビタミンC)

ユベラやシナールは、女性の不妊治療でも着床しやすくするために用いられています。

3:漢方

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
  • 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

八味地黄丸は、女性の不妊治療にも取り入れられています。

投薬による治療期間と効果

投薬治療は3か月間です。精子が作られて運動できるようになるまで86日間(造精72日間、運動14日間)かかるため、投薬治療は3か月必要です。

ただし、有効性は医学的に明確ではなく、確実に効果が出るわけではありません。とはいえ、これらのお薬は、これまでの経験的に「効く」とされている(実際に効果も出ている)ものが処方されています。

外科手術(精索静脈瘤)

血管にコブができてる場合は、外科手術で取り除きます。すぐに手術するわけではなく、次の条件をすべて満たした場合にも治療にとりかかります。

  • 不妊の期間が2年以上
  • 妻に不妊の原因がない
  • どうしても自然妊娠したい

ちなみに、コブがあっても命にかかわることはないとされていますが、症状が重くなると鈍痛を感じると言われています。

無精子症や精子無力症の場合はどうするの?

さて、ここまでは男性不妊の原因4つのうち「乏精子症」と「精索静脈瘤」の治療法について紹介してきました。

残り2つの無精子症と精子無力症では、自然妊娠が難しいため人工授精・体外受精・顕微授精をメインとした不妊治療が行われます。

無精子症の場合

無精子症には「閉塞性」と「非閉塞性」の2つがあります。

閉塞性:精子は製造されているけれど、通路が塞がれていて外に出られない

非閉塞性:精子自体が製造されていない

どちらにしても、外科治療によって精子を回収して受精を目指します。

閉塞性の場合には、精巣上体に専用の針のようなものを刺して精子を採取する精巣上体精子回収術(MESA)が行われます。

非閉塞性の場合には、いくら精子がつくられていないといっても、精細管でわずかにつくられている可能性があるので、精細管から精液を採取する精巣内精子回収術(TESE)が行われます。

回収した精子に運動機能があるなら人工授精か体外受精を、なければ顕微授精となります。

精子無力症の場合

精子無力症である場合には、程度によって治療方法が違います。程度は運動率によって分けられ、軽度(50%)・中度(20~40%)・重度(~10%)となっています。

軽度であれば、乏精子症と同じく薬を飲んで治療となります。同時に、精子の質を改善するために食事療法を行うことになります。できるだけ多くの栄養素を満遍なくとり、精子の質を高めることを助けてくれる漢方薬などを服用します。

ただし、乏精子症と同じく決定的な治療とはなりませんが、自然妊娠の希望が持てる治療法です。

もし、中度や重度なら男性側だけの努力では解決できません。奥さんにも手伝ってもらい、人工授精・体外受精・顕微授精のいづれかで妊娠を目指します。

男性不妊を改善したい!摂るべき栄養素

男性が不妊を少しでも良くするためにできる対策は、食事療法です。精子は男性の睾丸の中で毎日作り続けられているものなので、食生活も影響してきます。元気な精子を作るための栄養素が6つあります。

1:亜鉛

亜鉛は、たくさんの精子を作り出すはたらきを助けてくれます。精子が少なくなると、自然と性欲減退へと繋がるので、亜鉛が欠乏しないように普段の食事から意識して取り入れることが大切です。亜鉛を多く含む食材は、アナゴや牡蠣です。

2:アルギニン

アルギニンはアミノ酸のひとつで、精子の運動量を高めてくれるはたらきがあります。アルギニンは、レーズンやエビ、牛乳などに多く含まれています。

3:ムチン

ムチンはねばねばした食材に多く含まれており、精力をつけることができます。ムチンが多く含まれている食材としては、オクラや納豆、ヤマイモなどがその代表です。

4:セレン

セレンは、精子の形成において非常に重要な役割を果たす成分です。精子の頭部と尾部をつなぐ大切な役割をしています。セレンが多く含まれている食材は、カツオやアジなどの海鮮物の他に、マカロニがあげられます。

5:ビタミンQ

ビタミンQには、細胞の老化を防ぐ役割があるので、精子の老化を防ぎ、精子の動きを活発にしてくれます。ビタミンQを多く含む食材は、モツやレバー、牛肉です。

6:ビタミンE

ビタミンEは男性ホルモンの分泌を促してくれます。ビタミンEを多く含む食材は、あさりやごまです。


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