子宮内膜症を治して妊娠したい!卵巣の影響と治療の現状

不妊の原因にもなる子宮内膜症。カラダにも鈍痛などの変化が見られます。原因が明らかではなく、女性であれば誰にでも罹患する可能性がある病気です。このページは、症状や罹患率、治療の現状と予後など子宮内膜症のことを網羅して解説しています。

子宮内膜症はどんな病気なの?

子宮内膜症とは、子宮の内側にしか本来ないはずの子宮内膜が、子宮ではない場所にできてしまう病気のことです。具体的には子宮以外の場所で、例えば卵巣や腹膜などがありますね。

さらに、卵管で不要なまでに増殖した子宮内膜によって、卵管が完全に封鎖されてしまうなど、不妊の原因にもなってしまいます。この子宮内膜症では、子宮以外の場所でも増殖と剥離を続けます。

子宮であれば生理時に流れていきますが、それ以外の場所では腹腔内にとどまってしまうので、体内で炎症を起こす原因になったり、痛みや癒着などの原因になるとされています。

卵管内で癒着があったり、卵巣で癒着が起こると、卵巣から卵が排卵されるのを防いだりして、他の病気の原因になることもあります。

子宮内膜症の現状。罹患率や患者数

日本国内での罹患率は2005年には5~10%とされ、この疾患で悩んでいる女性は気づいていない人を含めると100万~200万人に上ると推定されています。

つまり、高い確率で発症するにもかかわらず、具体的な症状も原因もわかっていない女性特有の病気なのですね。

子宮内膜症が発生しやすい部位

子宮内膜症が発症しやすい部位は、腹膜・卵巣・子宮と直腸の間などです。

直腸と子宮が子宮内膜症によって癒着してしまうと、直腸での動きによって子宮が痛みを感じる場合もあります。ほとんどの子宮内膜症の症状は骨盤内で起こるとされていますが、まれに肺(胸隔内子宮内膜症)などの臓器にできることもあります。

痛みや症状の特徴

痛みについては重症度との関連性が薄く、軽度でも痛みを強く感じる場合もあれば、重症でも痛みをまったく感じず、自分が子宮内膜症だと知らない人もいます。これが子宮内膜症の特徴の1つでもあります。

あまり症状として感じることは少ないのですが、月経時に子宮以外にできた内膜がはがれて出血するので、下腹痛や腰痛などの症状が見られる場合があります。

しかし、症状の進み具合と感じる症状の度合いや痛みが連動していないのが特徴ですから、子宮内膜症で「痛い!」と激しい痛みを感じても、実際に病院を受診すると、軽度の子宮内膜症だと診断される場合もあります。

一方で、痛みや具体的な症状は一切ないのに、たまたま子宮がんなどの検診の際に子宮内膜症が判明し、重度であったというケースも。

このように自覚症状が乏しいので、早期発見が難しく、検査や定期的な検診に頼らざるをえないのが現状です。

子宮内膜症の卵巣への影響

子宮以外の場所にできた内膜が月経のつどはがれます。しかし、体の外に排出されずに残って癒着することで、様々な影響を引き起こします。

特に卵巣への影響は軽視できません。卵管への影響として簡単に箇条書きで説明すると、次のような悪影響があります。

  • 卵巣の正常な機能を阻害する
  • 排卵を阻害する
  • 卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)を発症させる
  • 手術で治しても排卵状況が悪い場合もある

中でも、特にやっかいなのが卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)です。

チョコレート嚢胞ってなに?

卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)は、子宮内膜症が卵巣付近で発症したときに起こる症状です。卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)を発症すると、卵巣の本来の正常な働きが阻害され、正常に排卵できなくなります。

さらに、治療法は薬と手術の2つがありますが、薬ではどれくらいの期間で治るかはっきりしません。そのため、すぐ妊娠したいなら手術で癒着を取り除くほかありません。

しかし、妊娠できるよう手術で卵巣を残したにもかかわらず、排卵が以前よりも悪くなることもあるんです。

チョコレート嚢胞で癒着しながらも排卵し続けていたのに、癒着を取ったら、変形していた卵巣が元に戻れず、排卵状況が改善しない、または微妙に元に戻ることで逆に排卵が阻害されるなどの危険性があります。

これらは、命に危険を脅かすものではありませんが、妊娠を強く希望している場合には大きな妨げになります。

さらに、確率1%以下ですがガン化するリスクがあります。場合によっては閉経までの長い期間、定期的に観察しながら上手に付き合っていかなくちゃいけない、やっかいな病気です。

子宮内膜症の治療はの現状

子宮内膜症の治療方法としては、手術と投薬の2通りに分けられます。

手術での治療

1つは手術による方法です。薬だけでは治療ができない場合や、早期妊娠を希望しているので早めに治療を終えたい人向けの選択肢です。

内容は、腹腔内にとどまっている内膜を全て摘出して癒着を改善します。卵巣や子宮の正常な部分は残すので、妊娠は可能。

一方で、妊娠を望まない場合には、子宮や卵巣などのすべて摘出し、内膜症ができる部分を全てなくすこともできます。しかし、卵巣喪失によるホルモンバランスの崩れから更年期症状が出やすくなるデメリットがあるので、卵巣のみを残す方法もあります。

卵巣を残す場合、チョコレート嚢胞はガン化のリスクがあるので、40歳以上になっても症状に改善が見られない場合は、卵巣も摘出すべきとされています。

以前は目立つ手術痕が残りましたが、現在では小さな穴を開けるだけの腹腔鏡手術ができるので、術後の経過も良好。短期で回復できますよ。

投薬での治療

投薬は、自然治癒を目指す治療方法です。これまでは、次の2つの方法が用いられてきました。

  • 鎮痛剤で痛みを抑えて自然治癒を待つ
  • 低用量ピルで月経を止めて子宮・卵巣を休ませ、自然治癒を待つ

さらに、偽閉経療法(GnRHa療法)があります。これは、性腺刺激ホルモンの分泌を抑えて閉経時に近い状態をつくる薬。排卵がなくなるため子宮と卵巣を休ませることができますが、骨密度が減少するので、6ヶ月を超えた投薬はできません。

今では薬の研究が進み、ディナゲスト(ジェノゲスト)療法が投薬のメイン治療となっています。ジエノゲスト錠(黄体ホルモン薬)を服用して、女性ホルモンの分泌を抑えながら、直接病巣へと働きかけることによって、病巣を縮小し、子宮内膜症の症状を改善できます。

ただし、薬物治療は長い期間かかります。ディナゲスト服用よる臨床データでは、24週連続服用で80.5%の女性に、52週連続服用で90.6%の女性に症状の改善が見られました。(2016年6月持田製薬発表)

子宮内膜症の予後と再発

治療後の生活はどういったものでしょうか。治療を終えても油断できないがの子宮内膜症です。具体的な予後の生活や症状などを紹介します。

根治目的の全摘出で悩まされる更年期症状

手術で子宮などを摘出して根治治療をすると、更年期がやってきます。症状としては、ほてり・のぼせ・乳房の痛み・動悸が激しい・脈が早くなる・多汗・めまいやふらつき・耳鳴り・倦怠感・疲労感・肥満・むくみ・頭痛・冷え症など。どの症状も日常生活に影響があります(人によって症状の強さが異なります)。

最近では飲み薬などによって、症状を抑えられるので、医師に処方してもらって、更年期症状を抑えながら付き合っていく生活が待っています。

妊娠に向けて一部摘出や投薬で治療した場合の予後

妊娠や更年期症状を抑えるために子宮を残す温存手術をした場合は、生理が続く限り、また子宮内膜症の原因がわからない限り、再発の可能性はぬぐいきれません。

つまり、手術で癒着している部分を綺麗にしても、月経のたびに内膜が剥がれ落ちるのを繰り返していると、数年後にはまた同じ状態に戻る可能性があります。再発率は、2年間で3割とされていて決して低くはありません。

妊娠できるの?子宮内膜症治療後の不妊治療

子宮内膜症が治ったら、妊娠に向けた検査が待っています。子宮内膜症が発症していると、卵管内でも内膜症が起こって卵管が閉じてしまい、不妊の原因になっていることもあるんです。子宮内膜を取り除いても、直径1mm程度の卵管内まではキレイにできません。

治療後の検査で、卵管が閉じて(詰まって)いることがわかれば、卵管を広げる検査と治療(卵管通水検査・卵管造影検査)などが必要ですし、卵管が通っていても子宮内の状態があまりよくないこともあるので、子宮の質を高める治療を受けたり生活習慣にチェンジします。

それでもダメなら、自然妊娠を諦めて体外受精で赤ちゃんを授かることになります。妊娠の確率は低くなるけれども、妊娠することはできるんですよ。