卵胞ホルモン(エストロゲン)は、妊娠に欠かせない女性ホルモン。正しい分泌量をキープできていると子宮内膜が厚くふかふかに育つので、受精卵の着床を助けるホルモンです。
女性らしさを作るホルモンともいわれ、美容分野でもちやほやされていますが、ここでは妊娠に関連した働きなどを紹介していきます。
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卵胞ホルモン(エストロゲン)の妊娠への働き
卵胞ホルモン(エストロゲン)は女性ホルモンの1つで、ステロイドホルモンの1種。女性の排卵を助けるホルモンであり、妊娠(妊娠継続)に欠かせない働きが少なくとも3つあります。
- 卵胞を成熟させる
- 子宮頚管粘膜を分泌する
- 子宮内膜を増殖させる
卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されることで、子宮内の内膜を増やすから受精卵が着床(つまり妊娠)しやすくなります。妊娠成立後は、胎盤が生成されるのを助けるとても大事なホルモンなんですね。
生理や基礎体温にも関与しています。
定期的に月経がくるのは、卵胞ホルモン(エストロゲン)が黄体ホルモン(プロゲステロン)と常にバランスを取りながら働いているからです。
排卵から生理前までの間に高まる黄体ホルモン(プロゲステロン)と生理前から生理中までの間に高まる卵胞ホルモン(エストロゲン)の働きによって、月経のタイミングが決まっています。
2つのホルモンの上下の動きがあるから、体温も上昇&下降するので、基礎体温を付けることができるんですよ。
卵胞ホルモン(エストロゲン)には体温を上昇させる働きはありませんから、体温を上げる黄体ホルモン(プロゲステロン)と入れ替わることで体温の上昇や下降がおこるのですね。
卵胞ホルモン(エストロゲン)の標準的な分泌量はどのくらい?
卵胞ホルモン(エストロゲン)の標準的な値には個人差があり、さらに年齢によっても違います。思春期以降は、月経周期の中で標準値が目まぐるしく変わっています。
生理開始日~12日目(月経期・卵胞期)
この時期は、卵巣内で卵胞が育つ期間です。25~195pg/mlが標準値。1~8日目は月経期と呼ばれ、オリモノが多い時期ですね。出血が収まると、卵胞期に入って卵胞ホルモンが増えていきます。
生理13~17日目(排卵期)
66~411pg/mlです。生理開始から14日目に排卵されます。最も妊娠しやすいゴールデン期間!
排卵後~次の生理まで
この黄体期は「黄体期」と呼ばれ、卵胞ホルモンの標準値は40~261pg/mlです。
【余談】乳児期や閉経期の卵胞ホルモン(エストロゲン)分泌量
実は、女児は乳児期早期の1~3ヶ月目から思春期並みにたっぷりな卵胞ホルモンが分泌されているんです。2歳~思春期前までは一旦減少して少なくなります。この時期の平均値は女性が0.6pg/ml、男性が0.08pg/mlで、女性のほうがエストロゲン値が高いので、思春期が男子より早いのはそのためなんですよ。
閉経期になると10~40pg/mlが正常値です。もし、20~40代中盤なのに卵胞ホルモンが閉経期並みに少ないなら、ホルモン不安定による不妊の可能性があります。この値は血液検査で計測できます。
卵胞ホルモン(エストロゲン)は注射で増やせるの?
卵胞ホルモンが不足すると、不妊や生理不順などの原因になります。治療には、卵胞ホルモンを注射が行われています。
卵胞ホルモンの分泌量が減ることで起こるとされている更年期障害の治療も、卵胞ホルモン注射で行われています。
誰でも注射治療できるワケではありません!
卵胞ホルモン注射は、副作用の可能性から、次のような症状を持つ人は禁止されています。
- 乳がん
- 血栓性の静脈炎や肺栓塞症を経験している
- 子宮内膜症
これらの理由を、1つずつみていきましょう。
乳がん
卵胞ホルモン(エストロゲン)依存性の乳がんがあると、腫瘍を大きくする恐れがあるので、注射による投与はできません。
血栓性の静脈炎や肺栓塞症
卵胞ホルモン注射は血栓ができやすくなるので、血栓性の静脈炎や肺栓塞症を過去に経験している人や、現在治療中の人には投与できません。
子宮内膜症
卵胞ホルモンは、子宮内の内膜を作ることにも関わっています。子宮内膜を作る働きのある卵胞ホルモン(エストロゲン)を注射すると、子宮内膜症が悪化する恐れがあるので使用を控えます。
卵胞ホルモン(エストロゲン)注射の副作用
卵胞ホルモンは少量で大きな働きをするので、先ほどのような症状がなくても、投与が体に合わなければ様々な副作用が起こります。
副作用の主な例
肝機能障害・吐き気・食欲減退・倦怠感・めまい・むくみ・肌の色素沈着・体重増加・発疹 など
この他にも、女性特有の病気である、乳がんや子宮がんのリスクも高まるとされています。そのため、卵胞ホルモンを単独で大量に注射することはほとんどありません。多くの場合は、同時にホルモンバランスを取ってくれる黄体ホルモンなどと一緒に注射されることが多いです。
卵胞ホルモン(エストロゲン)安全に増やすなら食事が一番
卵胞ホルモンの分泌量を増やすためには、食事療法が一番安全。最も有名な栄養素は大豆イソフラボンですね。
大豆イソフラボンは女性ホルモンと似た働きをして、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を促します。さらに、ボロンという栄養素はキャベツや海藻に多く含まれ、それも卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を促すとされています。