人工授精を検討中の夫婦へ – 費用や妊娠確率は?

不妊治療で、タイミング法の次のステップにあたる人工授精(IUI・AIH)。「通院してクロミッド飲みながら自然妊娠にチャレンジしたけど成果がでない・・・」を5周期繰り返したあたりで医師に勧められ、検討に入る夫婦が多いんです。

けれども、「妊娠できるのかな?」「費用が高いんでしょ?」など不安が大きく、一歩踏み出すのに努力と勇気が必要ですよね。

ここでは、これから人工授精を検討するご夫婦のために、費用や妊娠確率、検査内容までを分かりやすく解説していきます。

人工授精はどんな不妊治療なの?

人工授精は、不妊治療4ステップのうちの2段階目。自然妊娠と違い、性交渉による受精ではなく、精子を子宮(もしくは子宮頚管内)に注入して受精を促す方法です。

「子供が欲しくてタイミング法などを試してみたけれど、妊娠することができない」といった場合には、ご主人と一緒に婦人科に通院して、医師と相談しながら妊娠できない原因を探ったうえで、人工授精を検討します。

人工授精はどんな場合に行われるの?

人工授精はどういった場合に行われる不妊治療方法なのでしょうか。大きく分けて3つあります。

【1】精子に異常がある

1つ目は、男性の持っている精子に異常がある場合です。精液の量や精子の質に異常があると、自然妊娠が難しくなってしまいます。

【2】膣内に射精できない

2つ目は、女性の膣内で射精をすることができない場合です。なんらかのことを原因として、女性の膣内で射精をすることができない場合、精子を子宮へと送り込むことができないので、受精するに至りません。

【3】膣内と精子の相性が悪い

3つ目は、膣内で分泌される頸管粘液と精子の相性が不適合である場合です。女性の膣内では、精子を卵子の元へスムーズに送ることができるように、アルカリ性の粘液を分泌しています。

しかし、この頸管粘液と精子の相性が悪い場合、精子が死滅してしまい、卵子の元まで辿り着くことができません。

人工授精は夫婦間と他人間の2タイプがあります

人工授精(IUI)を行う際、基本的にご主人の精子を使って人工授精を行うことになりますが、それができないときには、ご主人以外の精子を使って人工授精を行うことになります。

ご主人の精子を使って人工授精を行うことを配偶者間人工授精(AIH)と呼び、ご主人の精子ではない精子を使って人工授精を行うことを非配偶者間人工授精(AID)と呼びます。

IUI:intrauterine insemination

AIH:Artificial Insemination by Husband

AID:Artificial Insemination with Donor’s semen

人工授精では、採取した精子の洗浄の有無で妊娠率が変わってくるとされています。もちろん、妊娠に適しているのは洗浄する方。これは、生殖医療の必修知識(編集:日本生殖医学会、平成26年刊行)にも明記されています。

洗浄によって、動きのよいものだけをピックアップできるし、不純物を取り除くので運動性も確保できます。

人工授精の妊娠確率は?

では、人工授精を行うと、どれくらいの確率で妊娠することができるようになるのでしょうか。人工授精を行った際の妊娠の確率は、5~10%であるといわれています。

したがってほとんどの場合、妊娠するまでに数回の人工授精を行うことが多いです。とはいえ、3~4回目までに妊娠にするカップルはおおよそ9割。

反面、人工授精は回数を重ねるごとに、妊娠確率は減少していくといわれています。そういったことから、人工授精を行って5回(開始から約半年)を過ぎたら、次のステップの治療法(体外受精)が検討・相談されます。

人工授精の流れ

人工授精は1回の生理周期(28日間)に4つステップで行われます。どのタイミングでどのように人工授精による不妊治療が進んでいくのか紹介します。

排卵方法を選択する【生理開始日~7日以内】

人工授精の流れとしては、まず排卵方法を選択します。きちんと排卵されていることが前提条件なので、女性の状況によっては、完全自然排卵を選択するか、排卵誘発剤を使って排卵を促す選択をするか、どちらかになります。

これは、生理開始日から7日までくらいに行います。

排卵日の推測検査【生理開始後10~12日の間】

次に、排卵日を推測します。正確に推測するために、超音波検査を行ったり、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンを測定したりして、排卵日の予測を行います。

排卵日が特定されると、その日が人工授精の日として設定されます。これは、生理開始日から数えて10日から12日の間に行います。

ついに人工授精【排卵日】

それから、排卵日を迎えたら、いよいよ人工授精を行います。

はじめに、本当に排卵しているのかを確認されたのち、女性の膣内にチューブのようなものを挿入し、それを使って精子が子宮口から送り込まれます。

排卵が行われてから受精をすることができる時間は限られているので、あらかじめ精子は準備しておきます。精子の準備をする際、自宅か病院内でマスターベーションを行って、専用の容器に入れてから精子を提出することになります。

最後に判定【人工受精から14日後】

そして、人工授精を行った後、妊娠判定を行います。受精卵が着床して妊娠が成立するまでには、相当の期間が必要となるので、人工授精を行ってから約14日後(つまり、生理が周期通りなら次回の生理予定日)に妊娠判定を行います。

治療開始前に夫婦で受診を!

人工授精を行うには、夫婦そろって病院を受診することが大切です。なぜならば、不妊の原因は男性にもあるから!

クリニックの開院は平日がほとんどなので、お休みを合わせて取るのはハードルが少し高いかもしれませんね。とはいえ、男性が通院するのは精子の検査を行う初回のみ。

人工授精に使う精子は自宅で採取できる(専用の容器が渡される)ので、そのつど来院しなくてもOKなんですよ。(※クリニックによっては、そのつど来院が必要です。)

※採取のときは、女性がお口でお手伝いするのはNGです。唾液に消化酵素が含まれているので、精子が死んでしまいます。

人工授精の疑問。リスク・費用・助成金などをQ&A形式で

治療費はどのくらいかかりますか?

人工授精は、保険適用がなされない治療なので、料金は病院によって様々。相場としては、1回の人工授精でおよそ2~3万円です。

ただし、1回で妊娠できる確率は少なく、ほとんどの場合は4回くらいトライするので、トータルで10万円前後の費用がかかることが多いです。

痛みはありますか?

人工授精のとき、カテーテル(チューブのような管状の器具)を膣内に挿入して精子を子宮口から注入します。子宮口が狭かったり、腫瘍があって管がスムーズに入らない場合は痛みがあります。個人差があり、激痛~生理痛ほどの鈍痛まで。

すんなり入ると、痛みはありません。

カテーテルを入れても大丈夫なんですか?

カテーテルで膣内の膜を傷つけてしまい出血をしてしまうことはありますが、なんら問題はありません。

人工授精は遺伝子に影響がでますか?

赤ちゃんに遺伝子的な異常がないか心配になるかもしれませんね。赤ちゃんに遺伝子的な異常があるかどうかについては、人工授精で妊娠しようと、自然妊娠で妊娠しようと、その確率は同じであるといわれています。

したがって、人工授精を行ったからと言って遺伝子的な異常を伴ってしまうわけではありません。