卵巣嚢腫(チョコレート嚢胞)の治療と妊娠への影響は?

卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)とは、卵巣にできる良性の腫瘍のこと。卵巣膿腫の約9割は良性ですが、良性という言葉に騙されてはダメですよ。

悪性(ガン)じゃないので命の危険性は低いですが放置は禁物。不妊の原因にもなるので、赤ちゃんを望む夫婦ならぜひとも治療したいものです。

卵巣嚢腫について

嚢腫には、どのようにしてできたかで形状が異なり、2つのタイプが存在します。

1つは、袋状のタイプ。卵巣内の分泌物などが原因でそれが溜まってできたものです。もう1つは、こぶタイプ。こちらは、細菌が増殖して硬くなったものです。

2つのうち、卵巣嚢腫は、分泌物が溜まって袋状になったものを卵巣腫瘍と呼びます。

妊娠に悪影響な4つの嚢腫

さらに嚢腫の袋の中身によって、4つの嚢腫に分かれています。

類皮のう腫(奇形腫)

袋状の中に、髪の毛、歯、骨、皮膚、肺などに似た組織が入っているものを「類皮のう腫」(奇形腫)と呼びます。袋の中に脂肪が溜まり、髪の毛や歯などが生える不思議なのう腫です。

チョコレート嚢胞(チョコレート嚢腫)

子宮内膜症が原因で、子宮内膜の組織や血液がたまって起こる卵巣嚢腫を「チョコレート嚢胞」と呼びます。嚢腫の中身が変色してチョコレート色になっているから、このように呼ばれています。

漿液性嚢腫(しょうえきせいのうしゅ)

卵巣の表面の上皮から浸み出て、中に黄色い液体(体液)が溜まってできたものです。卵巣腫瘍の25%が漿液性嚢腫で、大きさは10cm以上になることも。両側の卵巣内に発生(確率は30代で10%以上、40代で50%)すると、妊娠が難しくなります。

粘液性嚢腫(ねんえきせいのうしゅ)

卵巣内に粘液がたまった状態の嚢腫です。嚢腫がパンッと破裂すると、腹膜炎を起こして命を落とすこともあります。卵巣腫瘍の20%が粘液性嚢腫とされています。片側の卵巣だけにできることがほとんどなので、妊娠の可能性は残されていますね。

不妊の原因になるチョコレート嚢胞

どの嚢腫も不妊の原因になりますが、中でも、不妊治療の現場でよく耳にするのがチョコレート嚢胞です。

チョコレート嚢腫は、月経の度に内膜が剥がれ、その度に卵巣内に血液や粘膜などが溜まってできます。はっきりとした原因はなく、子宮内膜症を起こすきっかけも、あまり詳しくはわかっていません。

ホルモンバランスが乱れたり、ストレスなどが原因とされているので、基本的には体調(フィジカル・メンタルの両方)を整えるしか予防法はありません。とはいえ、確実に予防できるというわけでもありません。

チョコレート嚢腫は子宮の様子をエコーなどで検査すると、血が溜まって見えたり、卵巣付近に影が見えたりするので、内診で判明します。

子宮の痛みや鈍い感覚など症状が出る場合もありますが、沈黙の臓器とも呼ばれる子宮のトラブルは、あまり表面化しないことも多いので、痛みもなく重症化することも少なくありません。

チョコレート嚢胞はガン化する!

問題は、チョコレート嚢腫はガン化して卵巣がんになるリスクがあること。そのため、直径5センチより大きくなったら、手術での摘出が基本です。※小さいうちはジエノゲスト錠というお薬を飲んで治療します。

ずっと放置した場合、癌になる年代と確率は次のとおりです。

年代 がん化の確率
20~30代 1%
40代 5%
50代 20%
60歳 50%

チョコレート嚢胞でも妊娠はできる!

チョコレート嚢腫の存在と、排卵の有無はべつものです。なので、嚢腫があっても排卵していて、かつ、卵管や子宮には何のトラブルもない場合には正常に妊娠できるんです。

中には、チョコレート嚢腫に気づかず妊娠し、妊娠時のエコー検査によってわかる例もあります。

しかし、チョコレート嚢腫によって排卵が阻害されると、卵子と精子が出会うチャンスがなくなってしまうので、不妊の大きな原因となります。

卵巣腫瘍はどんな症状がでるの?治療は?

卵巣腫瘍のイヤなところが、無症状ということです。

症状を感じるのは腫瘍がかなり大きくなってから。不快感が出たり、胃や筋肉を圧迫して膨満感や鈍痛を感じるようになりますし、膀胱や腸が圧迫されるとおしっこが出にくくなったり便秘になります。

ずっと放置すると、卵巣を支える靭帯がねじれて卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん)になります。血管(静脈)の行き場がなくなり激しい痛みが出るので緊急手術になります。

卵巣嚢腫は女性なら誰でもなる可能性があります

嚢腫は40代以上の人に多く見られますが、卵巣嚢腫に関しては若くても多いことが特徴です。特に子宮内膜症を原因に発生する「チョコレート嚢腫」は30代から増えるとされています。

中には10代で見つかる人もいるので、子宮が正常に月経を迎えている人は全て、注意が必要です。最後に、それぞれの嚢腫が発生しやすい年代とその割合を紹介します。

嚢腫の種類 年代 割合
類皮嚢胞腫 20~40代 卵巣腫瘍の25%は類皮嚢腫。両卵巣にできる確率は10~15%
漿液性嚢腫 30~40代 卵巣腫瘍の20%前後が漿液性嚢腫。両卵巣にできる確率は年齢とともにアップし40代で50%
粘液性嚢腫 30~40代 卵巣腫瘍の20%前後が粘液性嚢腫。両卵巣にできることはほとんどなし。