OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の症状※腹部に違和感ある女性へ

OHSS(卵巣過剰刺激症候群)は、不妊治療のステップが進むほど発症の危険性がある症状。排卵誘発剤を使っているなら、その危険性と常に隣り合わせです。

OHSSは重症になると取り返しがつきません。どんな症状が出るのかあらかじめ知っておき、カラダに異変を感じたらすぐに治療を受けられる準備をしておきましょう。

OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の原因や症状は?

OHSS(卵巣過剰刺激症候群)は、ゴナドトロピン療法などで排卵誘発を行ったときに卵巣が腫れて発症します。排卵誘発剤で卵巣が刺激されて、卵巣が腫れあがります。

具体的な症状は、腹水や胸水など。下腹部が張ったり、お腹がポッコリしてきたら腹水が溜まっている証拠です。一層進行すると、溜まった水が内臓を圧迫して痛みや不快感がじわじわ体の上部へと。胃が圧迫されると吐き気が、肺が圧迫され始めると息苦しさを感じるようになります。吐き気・痛み・息苦しさが続くようであれば、OHSSが進行しているかもしれません。

不妊治療で定期的に診察を受けたとき、エコー検査で卵巣の腫れが確認できますが、怪しいと感じたら通院日を待たずに受診しましょうね。

卵巣が腫れる理由

女性のカラダは、卵巣1つにつき卵胞(卵子のもと)を1つだけ育てるようになっています。これを、左右の卵巣で交互に行います。

けれども、排卵誘発剤を使うと、左右両方の卵巣に複数(多いときで10個以上)の卵胞ができたりします。通常ではめったにあり得ない状況が卵巣の負担(=刺激)となって炎症を起こし腫れるわけです。

通常、自分自身の体内で分泌された女性ホルモンで排卵が自然に起こると、自分の体に合わせて1つの卵胞を育てる分だけのホルモンが分泌されるため、このような症状が起こることはほとんどありません。

なので、OHSSは排卵誘発剤を利用した不妊治療特有の症状です。

発症の大きな原因はゴナドトロピン療法(hMG-hCG療法)

排卵誘発に使われるお薬は、大きく分けて2つ。1つはクロミッド、もう1つはhMG-hCG製剤です。

クロミッドは排卵を促すホルモンの分泌を助けるため、OHSSを発症することは少なく、仮に発症しても軽度で済むことがほとんど。※クロミフェン療法(経口排卵誘発)で3.1%の発症。重症例はゼロ。

しかし、ゴナドトロピン療法は直接卵巣を刺激するので発症のリスクがアップ。発症率は約10%とされています。

通常なら、月経の最初は20個ほどの卵の元が卵巣内にありますが、排卵時期が近づくと自然淘汰されて、1つだけが卵子として排卵されます。しかし、ゴナドトロピン療法では卵巣内の卵胞すべてを育てるため、卵巣に負担がかかりOHSS発症します。

ゴナドトロピン療法は、自然妊娠だけではなく体外受精でも採用されます。たくさんの卵子を採取して、受精率を高める&多くの受精卵を作るという考え方によるもの。つまり「数で勝負!」しているわけですね。

その見返りとして、OHSSの発症リスクが付いて回っているということです。

こんな人はOHSSのリスクが高くなる!

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状があると、OHSSの発症リスクは60%にもなるとされています。(1993年日本産科婦人科学会生殖内分泌委員会の報告による。)

年齢もリスクと関係していて、卵巣の反応が良く、質の良い卵子が育ちやすい年齢、つまり18~35歳くらいまでの女性ではさらにリスクが高まります。

OHSSの治療。しっかり治るの?

OHSSの程度には、軽度・中度・重度の3種類あります。治療はステージによって異なり、軽度・中度であれば、経過観察による治療がメイン。

その理由は、カラダに溜まった水は、時間が経つと体内に再び吸収されるからです。一時的に卵巣が大きくなることで、血管から水分が漏れ出てしまい腹腔内に水が溜まることで発症します。もちろん、悪化を防ぐためにもhCG製剤の投与を辞めて卵巣を休ませつつ、腹水が自然と無くなるのを待ちます。

重度なら、入院による経過観察です。腹水で、歩けないほどの腰痛や腹痛に襲われるし、呼吸困難など命の危険性あるから。体内の水分バランスや尿量などを観察し、自然治癒を待つ治療が一般的です。

なお、重度のOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を発症すると、同じ不妊治療の方法が取れなくなる場合もあるので、「おかしいな?」と感じたら1日でも早く診察を受けに行ってください!

OHSSにならずに卵子を育てる方法があります

OHSSのリスクをゼロにする方法として、「未熟卵子体外培養体外受精法(IVM-IVF)」が注目されています。

この方法は、卵巣への刺激がほとんどないので、OHSSの発症の心配はありません。とはいえ、体外受精や顕微授精で採用される方法なので、自然妊娠したい夫婦には縁がない方法。不妊治療の最後の方のステップです。