胎盤剥離とは

胎盤剥離とは、お腹の中に胎児がいる状態で、胎盤が剥がれてしまうという妊娠中に起こるトラブルの一種です。健康な妊婦さんの場合、胎盤は出産後に自然に剥がれて排出されます。

しかし、妊娠中毒症など妊娠中のトラブルが起こると、胎盤が剥がれてしまい、妊娠の継続が難しくなってしまうことがあります。

お腹の中の胎児は、胎盤を通して母体から酸素や栄養を受け取っているため、胎盤が剥がれると酸欠の状態となり、死亡したり脳障害を起こしてしまう確率が高くなります。

胎盤剥離が起こる原因は様々です。最も多いのは妊娠中毒症が原因ですが、妊娠中毒症でなくても原因不明で起こることがあり、必ずしもはっきりとした原因が分かっているわけではありませんし、完全に予防できるというわけでもありません。

双子や三つ子などの多胎妊娠をしている妊婦さんは、狭い子宮内にたくさんの胎児がギュウギュウに押し合っているため、胎盤に圧が掛かりやすくなって剥がれやすくなる事はありますし、妊婦さんが転んだりしてお腹に強い衝撃を受けた場合にも、衝撃によって胎盤が剥がれてしまうことはあります。

胎盤剥離が起こるのは、妊娠22週ぐらいから36週にかけての時期で、この時期には万が一胎盤が剥がれたとしても、赤ちゃんは生まれてくることができません。

一度剥がれてしまった胎盤は元に戻すことはできないため、胎盤剥離が起こった場合には母体と胎児を救うために早急な出産を行うことになりますが、週数によっては赤ちゃんがその後生きられずに死亡してしまうリスクは高くなります。

胎盤剥離が起こると、ほとんどの場合にはお腹に激痛が走るので、妊婦さんは異変に気付くことができます。お腹は張って硬くなりますし、横になっても痛みがなくなるわけではないので、すぐに病院に行く妊婦さんがほとんどです。

胎盤が剥がれると、子宮の中では大出血を起こすため、母体も大出血となることがありますが、場合によっては子宮内は大出血でも外にはあまり出てこないことがあります。

出血の量が少ないから大丈夫というわけではないので注意しなければいけませんし、胎盤剥離なら必ずしも大出血となるわけでもないのです。

その他に自覚できる症状としては、胎動が少なくなったり、貧血状態になってしまうなどの症状があります。

母子への影響は?

胎盤剥離は突然起こることが多いため、定期的に妊婦検診を受けていても、事前に予想することは難しいですし、剥がれ始めのタイミングで早期発見することも簡単ではありません。

しかし、定期検診のタイミングによっては、超音波検査をした時に子宮壁と羊水との間に血腫が映ることがあり、そうした偶然によって早期発見することは可能です。

胎盤剥離が起こった場合、そのまま妊娠を継続することは難しいため、すぐに出産しなければいけません。放置してしまうと、胎児に酸素が行かなくなってしまうので酸欠状態で死亡したり、脳障害が残るリスクが高くなります。

妊娠週数によってはまだ生まれてくるには早すぎる場合があるものの、放置しても胎児は死んでしまうため、イチかバチかで帝王切開での出産となります。

もしも胎盤剥離と同時に出産が始まった場合には、子宮口が全開に近い状態ならそのまま自然出産することもできますが、時間がかかりそうな場合には帝王切開での出産となります。

どんな人がなりやすい?

胎盤剥離は、どんな妊婦さんにも起こりうるトラブルです。妊娠後期までほとんどトラブルがなく順風満帆なマタニティライフだったのに、突然胎盤が剥がれて激痛に見舞われてしまう人はいるので、どんな妊婦さんでも決して安心することはできません。

妊婦さんの中には、あらかじめハイリスクであることが分かっている人もいて、その場合には通常の妊婦検診でもより慎重な検査を行うなどして、予防と早期発見に努めることになります。

例えば妊娠高血圧症候群などの疾患を発症している人は胎盤剥離の発症リスクが高く、胎盤剥離を起こす妊婦さんの30%は高血圧が原因と言われているほどです。

また、過去の妊娠で胎盤剥離の経験がある場合にもハイリスクとなります。胎盤剥離は10%の再発率があるので、最初の妊娠で経験した人は、もしかしたら2人目の妊娠でも同じ経験をするかもしれません。

胎児の奇形が胎盤剥離を引き起こす場合もあります。例えば、胎児の体や頭が正常な形をしていなかったり、お腹の中で十分に発育できていない場合など、胎児側に異常がある場合には、胎盤剥離を起こしやすいことが分かっています。

この場合、母体がどんなに気を付けていても避けることは難しくなります。

妊娠中に喫煙をする妊婦さんはほとんどいませんが、もしも妊娠中にもタバコを吸う習慣がやめられなかったり、パートナーが自宅でモクモクとタバコを吸っている場合などには、有害物質が胎盤の血管収縮を引き起こし、血流が悪くなって胎盤剥離を起こす可能性が、通常の2倍と高くなります。

これは自分自身で気を付ければ避けることができるリスクなので、しっかりと管理したいですね。