AMH値とは、アンチミューラリアンホルモン値のを略したものです。AMHは、成長過程にある卵胞より分泌されるホルモンの一種。したがって、AMHの分泌度合いを数値化したものがAMH値で、その数値を調べるのがAMH検査です。
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AMH検査の概要
AMH値をみることで、卵巣内に残っている卵子の数が分かります。つまり、卵子の在庫数であり、妊娠できるチャンスの回数ということ。
そのため、AMH値は不妊治療の研究において注目されているホルモン値のひとつになっています。
AMH値はどうやって調べるの?
AMH値は、血液を採取して調べます。つまり、血液検査ですね。費用は100%自己負担のため病院によって違いますが、10,000円以内に収まることがほとんど。
結果は、検査後約2週間で分かります。
結果で何が分かるの?
AMH値が高ければ、卵子の在庫がたくさんあるということなので、妊娠のチャンスは広がります。ただし、チャンスとは回数のことであって、確率ではありません。そう、AMH検査を受けても、妊娠率が上がることはないんですね。
なぜなら、卵子がたくさん残っていたとしても、卵子の質がよくないと、妊娠しにくかったり、受精卵が順調に成長しなかったりして、出産に結びつくことが難しいから。
つまり、「妊娠できるか」というより、「妊娠のチャンスはいつまで続くか」を検査するものです。
数値が高いと妊娠できるの?
AMH値は高いとgoodというイメージがありがちですが、高すぎるのもよくありません。なぜなら、AMH値が高すぎると、多嚢胞性卵巣症候群である可能性があります。
多嚢胞性卵巣症候群とは、卵巣の中で卵胞がたまってしまい、排卵が邪魔されてしまうことです。排卵が行われないと、受精することができないので、不妊の原因となってしまいます。
逆に、AMH値が低いからといって、全く妊娠できないわけではありません。AMH値がゼロに近い方でも、自然妊娠できた例も報告されています。
検査結果は不妊治療にどのやって活かされるの?
女性の卵子の数は、生まれたときから既に決まっています。
なので、日を追うごとに減っていく卵子の数をAMH値として計測することで、不妊に対してどんな治療法を採用するのか決めるために使われています。
チャンスが多いので自然妊娠で行くのか、それとも限られた少ない回数を活かすために人工授精などを採用するのかなどなど。
卵子の質は年齢に比例すると言われており、女性の年齢が高いほど卵子の質は悪くなると言われているので、卵子の数以外にも年齢的な部分なども考慮して不妊治療を決定していくんですよ。
したがって、AMH値を測ることは、不妊治療を目的とするだけでなく、自分の体をよく知り、計画的に妊娠出産を行う上でも大切なことです。
AMH値をもう少し詳しく解説
AMH値とは、卵巣に残っている卵子の数を数値化したもの。妊娠確率を表すものではないので、AMH値が低くても年齢が若ければ気にする必要はありません。(※AMH値が高くても、年齢が高ければ妊娠しにくいというケースもあります。)
AMH値の平均値
AMH値の平均値は、年代別によって変わります。
- 20代 → 5.77ng/m~5.88ng/m
- 30代 → 3.5ng/m前後
- 40代 → 1.5ng/m
このように、年齢とともに少なくなります。卵子の数は生まれた時から決まっているので、年齢とともに減っていくのは当然のことです。
AMH値の減少を食い止めることはできるの?
AMH値は、食事療法で改善できるといわれていて、できるだけ多くの栄養素を満遍なく摂取することが大切です。
「卵子の数の減りを食い止める」と聞くと違和感がありますが、何百万個もある卵子の元の細胞。卵子として使われるのはその一部です。元となる細胞の減少を遅くすることで、AMH値の減りを遅くすることができるんです。
さて、AMH値が悪くなる原因をみてみましょう。
- 冷え
- ストレス
- たばこ
- 寝不足
- 行き過ぎたダイエット
冷え・ストレス・たばこは卵子に悪いことで有名です。寝不足になると、卵子の生育に欠かせない女性ホルモンの分泌が少なくなりますし、メラトニン(睡眠ホルモン)が足りなくなってしまい卵子が酸化する原因に!。行き過ぎたダイエットは、卵子に栄養が届かなくなるので論外です!
現代社会の構図と卵巣年齢の関係
今の女性のめざましい社会進出によって晩婚化したことで、第一子を妊娠する年齢も高くなってきています。
しかし、そういった状況の中でいくら医療の技術が進歩しているとはいえ、女性の妊娠可能年齢を引き延ばすことはできません。したがって、将来妊娠して子供を育てる意志のある女性は、結婚前でもAMH値を測ったり、婦人科に通院して子宮の状態を定期的に検査して、自分の卵巣年齢やカラダについてよく知っておくべきです。
しかしながら、AMH値は、妊娠の確率を指し示すものではないので、数値が悪くてもショックを受ける必要はありません。あくまでもこれが自分の卵巣年齢(=妊娠できる期間)と受け止め、より早く妊娠できる対策をとることが大切です。